私の感じている事は、
まず、この虫自体が魅力的な事に加え、採集難易度も高い事にあります。
山に隠れている宝物を探す“宝探し”ですね。
これが強烈に採集者魂をくすぐります。
さらに採集方法ごとのプロセスも刺激的で、なかなか魅力があります。
樹液採集に於いては、凄い樹液場を発見し、覗く時のドキドキ感、
それからそこに大きな甲虫が見えた時の興奮!
そんな時は、“ビリっ”と頭に電気が走るような感覚が味わえます。
一方、材割り採集では、凄い朽ち木を発見し、削る前のドキドキ感、
そこから極太食痕を発見した時に益々高まる緊張と興奮・・・
成虫が出てきた時は、同じように頭に電気が走るでしょうね・・・
(エヘへ 割り出したこと無いので予想ですが・・・)
どちらも似てますが、前者との違いは、ゆっくり 味わいながら進めていく感じでしょうか・・・
3令極太食痕ですと、追いかけていくにつれにオオクワである事を確信していきます。
ひと削りごとに“おー”とか “凄い”とか心の中で叫びながら、
そう、“宝物”に近づいていくんです・・・・・。
このプロセスこそが“材割り採集の醍醐味”じゃないでしょうか。
そんな3令極太食痕を求めて、先日も山に行ってしまいました・・・
1月12日
天気予報でも好天の予報でしたので、今期初めて朝からの出発です。
今回は3令を狙うため、あまり人が入りそうもないところを選定してみました。
初めて入る山が楽しみで、当日は早くから目が覚めて困ってしまいました(笑
運転中も色々想像し、気がついたらもう目的地!
あらら、お弁当買うの忘れてます・・・・。
時間がもったいないので、引き返さず自動販売機のコーンスープを弁当代わりにしました。
まあ、正月太ったんで丁度良いでしょう。
車を止め、持参地図で事前に決めたルートを確認し山に入ると、
幸い採集者の形跡はありません。
林の雰囲気も良く、朽ち木もたくさんあり、久しぶりに良いポイントだなあと感じながら
良い気分で山歩きです。
コクワくらいで、手応えがないままですが・・・・
でもそのうち、昔は良く手入れされていたであろう谷間の混合林となり、
倒木が多くなって来ました。
竹が多かったので、竹害でしょうか・・・
同時に、イノシシがタケノコやカブトの幼虫を食べたような跡も目立つようになり、
前回の恐怖がよぎります・・・・(笑
どうもこの辺のイノシシは幼虫好きのようですねー。
そんな中、ふとこんな材が目に留まりました!
水分の多いグズグズのクヌギ端材ですが、
イノシシの物色した跡に極太食痕が露わになっています。
“んん? ヒラタ幼虫も餌食になったのかな?”
そう思いながらチェックしてみると、
確かに水分が多いパサパサ材ですが、少しマシな部分では
オオクワ模様らしい食痕にも見えます・・・・・・。
“あれっ?”
リュックを下ろし、慎重に確認していきます。
ちょっとドキドキ・・・
このパターンはほぼヒラタかノコなんですけどね・・・・
柔らかいので、手でも捲れるくらいで、すぐ幼虫の居る部屋に到着しました。
おお!
大きさは期待通りで、成熟しつつある3令の様ですね・・・・
あとはヒラタかオオか?・・・・
祈ります・・・・・・
さあ!どうだ!
![]() |
3令 体重10.5g 頭幅10.8mm 男前です! |
“おおー!”
立派にオオクワガタでした!(笑
なかなかのサイズで、種親候補かな?って感じでしょうか。
小さな端材で、水分も多いので、他も採ってしまおうと削り進めると、食痕だらけ・・・
十分食痕を満喫しましたが、
結果は残念・・・・・
最初の1頭しか居ませんでした。
確実にあと1頭以上の食痕があったんですけど、抜けちゃった後かな・・・?
メスが羽化して脱出したか、本当にイノシシに食われたか・・・・・
まあでも、立派な3令幼虫に出会えて大満足です。
後片付けをし、腰をおろし、昼食のスープを飲みます・・・・
もちろんキンキンに冷えてしまってますが、獲物を採った後なので格別においしく感じます。
山の中でのこの一時は、私にとってまさに
“至福の時間”ですね。
午後も期待して、まだ周辺にある倒木からチェックを始めました。
しかし、いくつかチェックしますが、なかなか手応えはありません・・・・
ちょっと疲れて、テンションも下降気味のなかチェックした大きめのクヌギ倒木。
先端部分は良い状態に仕上がっていたのですが、やはり手応えなく、
根本部分もチェックしますが、全く何の食痕も出ないので、
もう止めようかなと思っていた時です!
僅かですが、なんだかオオクワ模様の
食痕出現!
んんー たまらないですねー
午前中の食痕とちがい、かなり確率の高い食痕にもう興奮度MAXです!
ああ、なんて幸せなんだろう・・・・
材採集ならではの醍醐味を満喫し、
慎重に削いでいきます・・・・・・・
すると、もう1本食痕が現れ、少なくとも2頭入っています!
どちらも木の中央付近から根の方食い上がり、又引き返しているようですね・・・
削いでいくと堅い部分に入り、食痕も細かくなってきました。
虫に近づいて来たかな・・・?
慎重に削いでいくと・・・
ついに穴が開きました!
さあ、どうだ!
んん?
“なんや!寝てるのにうるさいぞ!”って感じで
3令幼虫が穴からこちらを威嚇してました(笑
慎重に幼虫釣りで取り出し、確認すると、体重9.0g 頭幅9.8mm 卵巣は見当たりません。
メスならペアゲットだったんですけど、小さめのオスかな・・・・?
ちょっと残念でしたが、もう一つの食痕があるので、そちらに期待しましょう。
うまく運べば、メス成虫の可能性もあります!
もう一方ですが、
こちらも同様に堅い部分に入っており、全く同じような状況で穴が開きました!
ドキドキしながら、少しずつ穴を広げ・・・・・
祈る気持ちで確認します。
メス成虫か?
ちゃんと生きてるか?
さあ!どうだ!
・・・・・・・・・・?
んん・・・・・・・・・・・?
わお!頭でかい!
小さい頭のメスを想像しながら覗いたので、びっくりです!
取り出して確認すると、頭幅はほぼ12mmあります!
“やったー!”
あまりの大型幼虫に、メスを期待してたことも忘れ、大喜びです。(笑
これはもう種親決定ですね。
でも、ペアのメスが・・・・・(泣
あれ?ちょっと待て・・・・
もう一度9.8mmの幼虫を確認してみます・・・・
と言うのも、同じような部位を食べて兄弟でこんなに頭幅違うかな?
と疑問に思ったからです。
最近勉強しているチン腺確認すると・・・・
おっと!腺はありません・・・・・
“よっしメスや!”
正確性には自信ありませんが、ここで、とにかくメスと同定!
これ以上削るのは止めることにしました。
産卵位置を探しましたら、中央部の宙に浮いた部分の底が少しえぐれていたので、
その辺からと思われます。
とすると、まだ同腹は多く残っている可能性が大きいでしょう。
この木は容量も十分有るので、兄弟は無事羽化できることと思われます。
![]() |
戻してペアで記念撮影! |
十分“醍醐味”を満喫したので、もうおなかいっぱいです。
これで山を下りることにしましたが、ほんとになんと幸運な一日だったんでしょうか・・・
しばらく採集行かなくても、思い出して楽しめそうです(笑
大型オス、家に帰って早速体重測定しましたら、
“14.0g・・・・・” ????
体もプリプリしてたので、もう少しあると思ってましたが・・・・
ワイルド幼虫は体長があまりないので、見た目太って見えるんですね。